SID(MrSID, Multi-Resolution Seamless Image Database)ファイルとデータ形式
GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。
概要
SIDは、地理空間画像の保存および配信を目的に設計されたラスター形式のデータフォーマットで、アメリカの LizardTech 社によって開発されました。その高効率な画像圧縮技術で知られ、大規模な画像データの保存や転送を必要とする業界、例えば地理情報システム(GIS)、リモートセンシング、地図製作などで広く活用されています。SID ファイル形式は、可逆または非可逆圧縮技術を使用して、画像ファイルのサイズを大幅に縮小しつつ、視覚的な品質を維持します。これにより、保存や配信にかかるコストや時間が削減されます。

データフォーマットの概要
- 圧縮技術:SID は階層化されたウェーブレット圧縮アルゴリズムを採用しており、圧縮プロセスで可逆または非可逆のモードを選択できます。
- 可逆モード:画像を完全に復元可能で、情報の損失がありません。
- 非可逆モード:ユーザーの要件に応じて圧縮率を設定し、許容範囲内での品質劣化を伴う高圧縮効率を実現します。
- 階層的な保存:SID ファイルはマルチレゾリューション(多解像度)ストレージをサポートしており、異なる解像度の画像を素早くアクセスできます。ユーザーはその時のニーズに合った解像度を選んで読み込むことで、読み込み時間や計算リソースの消費を削減できます。
- ファイル拡張子と互換性:
- 拡張子:通常は
.sid
。
- 互換性:ArcGIS、QGIS、Global Mapper などの主要な GIS ソフトウェアで幅広くサポートされています。
- メタデータのサポート:SID ファイルには、画像の地理座標情報(通常 GeoTIFF タグ)が埋め込まれており、GIS システムとのシームレスな統合が可能です。
長所
- 高効率な圧縮:視覚的な品質にほとんど影響を与えず、元の画像の 5%以下にまでファイルサイズを縮小できます。これにより、ストレージスペースの節約や転送速度の向上が可能です。
- 多解像度サポート:ユーザーは必要に応じて適切な解像度のデータを読み込むことができ、大規模な画像の処理や低帯域環境での使用に適しています。
- 広い互換性:主流の GIS およびリモートセンシングソフトウェアで SID 形式がサポートされており、さまざまなプラットフォームで使用が容易です。
- 優れた画像品質:高圧縮率でも高品質を維持できるため、視覚的な分析や表示に最適です。
- 地理的な調整能力:地理参照情報をサポートしており、GIS アプリケーションと高度に統合できます。これにより、地理空間の分析や可視化に適しています。
短所
- 特許の制約:SID 形式は LizardTech 社の専有フォーマットであり、作成や編集には同社の認可を受けたソフトウェアを使用する必要があります。
- 作成コストが高い:SID ファイルを生成するには、GeoExpress などの LizardTech 社製ツールが必要で、これらのツールには商業ライセンスの購入が求められることが多いです。
- フォーマットの拡張性が限られている:SID 形式は主に画像データ用に設計されており、ベクターデータやその他の非画像データを直接保存することはできません。
- 圧縮プロセスの時間が長い:保存や転送の効率は高いものの、大規模な画像を圧縮する際には多くの時間と計算リソースを必要とする場合があります。
応用シーン
リモートセンシング分野では、SID 形式は高解像度の衛星画像や航空写真の保存および配信に広く使用されています。特に、地表の特徴変化や土地利用パターンの研究において、高効率な圧縮機能と多解像度対応機能を活用することで、広範囲のデータを迅速に処理することが可能です。
都市計画やインフラ整備においては、SID ファイルが広範囲の地形図や都市画像の管理に利用されています。これらの画像データは正確な地形情報を提供し、エンジニアリングデザインやプロジェクトの実現可能性の分析をサポートします。また、SID が多解像度表示をサポートしているため、ユーザーは必要に応じて適切な解像度の画像を読み込むことで、ハードウェア資源の消費を削減できます。
さらに、環境保護や災害管理の分野でも、SID 形式の効率性と地理調整機能が選ばれる理由となっています。環境監視機関は SID 形式を利用して、森林被覆、洪水地域、汚染拡散の画像データを保存および分析できます。また、災害発生時には、SID ファイルを迅速に転送および読み込むことで、広範囲の災害画像を利用して救援や復旧活動における重要な支援情報を提供することができます。
例
- SID ファイルの例。

- 別の SID ファイルの例。

ファイルの開き方
- GeoExpress で SID ファイルを開く。

- EarthSoft で SID ファイルを開く。

関連 GIS ファイル
ECW
PIX
JP2
BIP
参考
- https://manifold.net/doc/radian/sid,_mrsid.htm
- https://es.filedesc.com/file/sid
- https://help.earthsoft.com/mrsid.htm
- https://www.extensis.com/extensis-blog/mrsid-for-your-commercial-drone-image-compression-needs
- https://www.tdot.tn.gov/PublicDocuments/DesignDivision/assistant_engineer_design/design/v8/Using%20MrSID%20Image%20Files%20in%20MicroStation.pdf