GPKG（GeoPackage）ファイルとデータ形式

GISBoxは、OSGB/GEOTIFF/RVT などの複数の GIS フォーマットでの編集をサポートし、3DTiles/Terrain への変換や公開が可能なワンストップ 3DGIS データ編集、変換、公開プラットフォームです。

概要

GeoPackage（GPKG）は、地理空間データを効率的に保存・管理するためのオープンスタンダードなフォーマットで、OGC（Open Geospatial Consortium）によって策定されました。SQLite データベースファイルをベースとしており、ベクターデータやラスターデータ、その他の空間情報を効率的に格納することができます。GPKG ファイルは、従来の GIS ファイル形式が抱える分散や互換性の課題を解決するために設計されており、統一フォーマットによるオフラインデータ保存やクロスプラットフォームでのデータ共有をサポートします。Shapefile や GeoTIFF などの従来の GIS ファイルと比較して、柔軟性と拡張性に優れており、現代の地理情報アプリケーションに最適な選択肢とされています。

データフォーマットの概要

1. 基本的な特徴

ファイル拡張子：.gpkg
基盤構造：SQLite データベースに基づいており、標準 SQL クエリに対応。
空間参照：EPSG:4326 やカスタム座標系を含む多様な座標系をサポート。
データ種別：ベクターデータ（点、線、面）やラスターデータ（画像など）、スタイル情報、メタデータなどを同時に格納可能。

2. データテーブル構造

gpkg_contents：ファイル内のすべてのデータ内容（データタイプや空間範囲などのメタ情報）を記録。
gpkg_geometry_columns：ベクターデータのジオメトリタイプと座標参照系を定義。
gpkg_tile_matrix_set と gpkg_tile_matrix：ラスターデータのタイル情報を格納。
カスタムテーブル：特定のアプリケーションに必要な非空間データを格納するため、ユーザーが独自のテーブルを追加可能。

長所

単一ファイルでの管理：Shapefile 形式（.shp, .dbf, .prj など）とは異なり、すべてのデータを 1 つの.gpkg ファイルにまとめて格納でき、転送やバックアップが容易。
効率的な保存とクエリ処理：SQLite 構造に基づき、SQL クエリやインデックスを活用した空間データ処理が高速。
多様なデータタイプのサポート：ベクターデータとラスターデータの両方を格納可能で、フォーマット変換の手間を削減。
オープンスタンダード：無料でオープンソースのため拡張が容易であり、特許制約を受けない。
クロスプラットフォーム互換性：Windows、Linux、macOS など、複数の OS でサポートされ、多くの GIS ツールで利用可能。
高い拡張性：独自のテーブルや属性を追加して、特定の要件に対応可能。

短所

ファイルサイズの制約：SQLite データベースの制約により、1 つの GPKG ファイルの最大サイズは約 140 TB。ただし、全球規模の高解像度ラスターデータには GeoTIFF などの専用フォーマットの方が効率的。
学習コストの増加：Shapefile 形式のようなシンプルさと比較すると、多機能ゆえに学習コストが高い。
書き込み速度の制限：頻繁な書き込みやリアルタイムデータストリームには、Parquet のような特定のバイナリ形式ほどの性能は期待できない。
ツール間のサポート差：主要な GIS ソフトウェアは GPKG をサポートしているものの、一部のマイナーなツールでは拡張機能に対応していない場合がある。

応用シーン

GPKG の柔軟性と効率性により、地理空間データの管理や共有における理想的な選択肢となっています。都市計画では、大規模なベクターデータや高解像度ラスターデータを格納し、オフライン環境での分析や地図作成に利用されています。また、モバイルデバイスのオフライン地図アプリでは、単一ファイルの格納と高性能なクエリ処理が評価され、ナビゲーションや位置サービスで広く採用されています。さらに、災害管理においては、リアルタイムで更新されるベクターデータやラスターデータを保存し、現場での迅速な対応と意思決定をサポートします。このほか、環境モニタリング、交通分析、農業計画など、複数の空間データを統合し高度なクエリが必要なシーンでも、その利点が発揮されています。

例

GeoPackage のテーブル概要。

.gpkg ファイル例。

ファイルの開き方

GeoPackage「Spatial Manager」データプロバイダー。

QGIS で開いた gpkg ファイルの画面イメージ。